既婚ジャニヲタにおける馬鹿みたいなトキメキ妄想について ~20歳の私に告ぐ~
高校二年生の夏休みのことでした。
それまで2回しか飛行機にのったことがなかったくせに≪2泊3日の北海道修学旅行!→1日だけの休息→行政が主催する1週間のタイボランティア研修(初海外)!≫という過激日程を組んだ私。
笑顔でいられたのはタイの空港についた瞬間まででした。修学旅行の疲れに、はじめての長時間フライトの疲れが加わっていた私は“えっ?これサウナじゃなくて?普通の外気温??”というタイのメラメラした現地温度を体感した瞬間から体調は下り坂、結果、微熱と慢性的な気持ち悪さに見舞われ、ミネラルウォーターだけを抱きしめながら1週間を過ごすはめになりました(ホテルを転々とする行程だったためひたすら体調不良を抱えながらついていくはめに)。
地獄の復路フライトを終え、家に辿り着いた時には≪17歳の夏休み≫美しい文字に反した、「い、いえに、つ、ついた…」という安堵だけの、青春のきらめきなんて1ミクロンもない涙を流していました。
人生最高にツラかった1週間、私が本能的にやっていたことは<片思いの男の子の写真を見ながら心の中で話しかける>という行為でした。
“なにしてんの、私?”なんて疑問は体験したことのない体調不良の前に完全ひれ伏し状態。
この状況に打ち勝つために「わたし…がんばる」と写真に向かって言えば、写真の中の彼が「がんばれ!がんばれ!日本に帰れるまでの辛抱だよ!」と答えてくれている(気がする)、そんな本能に基づく幻想と幻聴のみで耐え忍びました。
「既婚ジャニヲタにおける馬鹿みたいなトキメキ妄想」というタイトルなのに、なんで遠い遠い昔の話をしているのか…というのは、<片思いの男の子の写真に話しかける>というこの最&高にやばい行為が、既婚ジャニヲタである私のスタンスの基礎であるから…なのです(みなさん、引くかもしれないがどうかもう少し読んでくれ…懇願)。
そして、そもそもなぜにこのタイトルでブログを書こうと思ったか…。
最近、ブログを読んでくださった何人かの素敵アカウントさんたちとTwitterでおしゃべりさせていただきとても楽しく思っています(急な敬語)。
「呼びタメ」タグが流行った時、今だから告白しますが、ドキドキしながらハートを押して、呼びタメしていただき、キャッキャッしておりました。うん、みんな若い!若い!その若さまぶしい!その若さ美しい!ごめん、私、さっき本当は「呼びタメ」の意味わからなくて高速で検索した…。
そう、私、みずうみ、33歳、二宮line(という言い方を人生初めてした今日は記念…)結構、大人で、結婚していて、子供います。
突然ですが質問です。
「つーか、つーか、結婚して、子供もいるのにこういう馬鹿みたいなトキメキ妄想ツイートかましてるのってどういうこと???」と一瞬でも思った方、もしいらっしゃいましたら、手を挙げてくださーい!
【濱田くんと金沢】金沢21世紀美術館の《スイミングプール》。プールの下にいくには結構距離あるけど、「写真取り合お」って返事もきかぬままものすごい速さで下に到着、ひらひらと手をふる崇裕が水面に揺らめいてる。帰り道「俺、現代美術館とか全然わからんかったわ」とのこと(そんな気はしてた)
— みずうみ (@numadeasobu) 2016年7月3日
ごめんなさいね、私、目をこらしてみたんですが、自分の家のパソコンの画面しか見えないので、誰も手なんか上がってないかもしれませんね。
でも、もし、若い素敵アカウントさん達と同じく20才ばかしの私がこのつぶやき見たら“結婚って恋愛の先にあるんですよね? え? それでほかの男の子にバーチャルだとしてもトキメクってどういう感覚ですか??? 結婚ってなんだろな……”って100パーがっくり肩を落として思っていることでしょう。
いつか結婚することになったら、「こんな風にずっと恋していようね」というメッセージを込めて,夫なる人にあげようと20歳の誕生日にヴィレバンで買った荒木陽子(写真家:アラーキーの妻)の愛とロマンにあふれた夫婦生活を綴ったエッセイ『愛情生活』を燃やしているかもしれない。
へいへい、そこの小瀧くんの濵田くんへのメールばりに重い20歳の私よ。そして、万が一の、手を挙げてくれたそこのあなたよ。
私なりのその質問への答えは、「濵田くんをはじめとするジャニーズ男子が≪永遠に交わることのない男の子=宗教的に祀り上げることのできる男の子≫だからこそ発生する感情であり、結婚は恋愛の永遠の延長戦ではないのでそれいったもので補完すべき部分がある」……です。
タイで写真に話しかけていた男の子とは、そのあとありがたいことに男女交際に発展しました。それは、それは楽しかった(初デートが城めぐりってのもよかったなー、天守閣が狭くて2人でひたすらかがんだなー、と、しみじみ)。
でも、私は二度と写真に話しかけることはありませんでした。毎日学校で見かけていたから、そんなことする必要がなかったのかもしれません。
でも、私が大学1年に自分がなった時、彼は行きたい大学を目指し地元で浪人生活をしていました。タイに行っていたときと同じく、物理的に離れていたし、はじめての1人暮らしできっと私が体調不良になったこともあったでしょう。でも、私の中に写真に話しかけた記憶はあの時以外ない。
いろんな話を共にして、いろんなところにいって、たまには一緒に世の中に悪態をついたりして、彼は私の日常でした。楽しかった。
でも同時に、付き合ったことで彼は「宗教的に祀り上げることができる男の子」から「日常の男の子」になったのです。タイで体調が悪いとき、写真の中の彼が私に「がんばれ!がんばれ!日本に帰れるまでの辛抱だよ!」と言いました。でも、本当の彼はきっと「大丈夫??でも、修学旅行のあとすぐタイってそりゃつかれるよ!」と少しあきれ顔でいうのではないかと想像することが容易にできてしまうのです。
結婚するとその傾向はさらに強くなります。
たとえば「おなかをすぐ壊しちゃう○○くん、迂闊かわいい💛」
こういう想像をする。
濵田君なら「あー、かわいかった」で終わり。
でも、現実に夫はお腹を壊したら「どうする?病院いく?つーかトイレくさい!」までがセットです。
たとえば「一緒にお泊りしたときに、○○くん、腕枕してくれた💛」
という想像をする。
濵田君の横でかわいい寝顔で私は眠り「かわいいやつ」と思われたい。
でも、現実は「起きて…る…?」と夫に声をかけられることしばしばの完全かわいさ0の半目で私はいつも寝ています。
たとえば「みずうみ…おれと結婚しよう💛」
といわれた想像をする。
濵田君とならすぐにウエディングドレスとタキシード、素敵な教会ででパパパーン(結婚行進曲)、中間くんあたりができた友人スピーチかましてくれてます。
でも、現実に夫からプロポーズされたそのあとに交わした会話は「結婚式やる? その前に親に挨拶して……、つーか貯金ってお互いいくらあるの?」でした。
日常というのはそういうことです。
いろんなカップルの形があると思いますが、基本的にはすべての人格を、すべての生活をシェアする、それが結婚であり、私は20歳の自分が思っているより「ロマン<現実のシェア」を大切にするタイプでした。
下痢のような、半目のような見られたくないものを見せあい笑い、現実を一緒に戦う。
それはそれでRPG的でとても楽しい。
下痢をしても半目でも「やばくない? にやにや」笑っていられる安心感半端ない。
でも、結婚は想像以上にRPGでいえば、レベル違いの強敵、資金難、パーティの管理(子育て)など戦うものがいっぱい。
時に、そのRPG的修羅場をクリアするために、お互いよくなかった動きを指摘しあったり、精神的な弱さを申告しあったり、持ち物(金銭的なもの含め)を精査しあうこともあります。戦うために役には立つし、必要だし、正論だけど、もちろん気持ちは、うぐぐぐそういわれると辛いぜ…ってなかんじになります。
でも、人間には、無条件に「がんばれ!がんばれ!」と言われたい、それだけで単純な意味で元気をだせるという側面があります。
めくるめく甘い恋愛ストーリーの主人公が自分であることで、自己肯定の意味で元気をだせるという側面があります。
でもRPG中の仲間と「無条件」「甘い関係」をつくるのって相反しませんか? ちゃんと戦って勝っていくことと「無条件」「甘い関係」って相性抜群に悪くないですか?
そう、「結婚とトキメキの両立ってくっっっっっそ難しい!!」
濵田君もきっと人間なので下痢くらいしているだろうけど、私はそのあとのトイレに匂いを体験することはないし、私の半目睡眠をみて濵田君に「げ…幻滅」と思われることもない。
雑誌やテレビから湧き出る彼のパーソナリティ―の中から素敵な部分だけ抽出してキュンとする。濵田君の横にいる私(という文字づらのやばさ…)なんて5割増しくらい人として優れていそう。あぁ、理想だらけ!うふふ!あはは!わくわく!
そのかわり、一緒に現実を戦うことは絶対にない。
「みずうみ…おれと結婚しよう💛」からはじまるリアルな共有は絶対にない。
それに関して私は至極冷静な顔で「そりゃ、そーだ」と言える。
当たり前だけど、ここに大きな意味があると思っています。
そう、日常の男の子(夫)と、無条件で自由奔放なトキメキは少なく、でも、明日をつくるときめきと楽しさを体現する
宗教的な男の子(ジャニーズ)と、理想だらけのときめきを作りだし、沸いてきた生きる意欲を現実のガソリンにする。
それが既婚でジャニヲタの私なのです。
おぉ!欲張り!そうかもしれません。
でも、その分、仕事で夜中の2時に帰ってきても朝には夫と息子のお弁当を半分寝ながらつくったりしているので許してください。「ママって忍たまのしんべえにそっくり。特にうしろすがた。」と息子に言われて少し傷ついたりしているので許してください(既婚子持ちRPGはそれなりに体力も精神力も、一人だった時には想像できなかったことで消耗することが多々あるのです)。
なので、こういうこと(馬鹿みたいなトキメキ妄想)は、いわゆる私の生活におけるべホイミ(回復の呪文)なのです。
控え室のタカヒロ
— みずうみ (@numadeasobu) June 30, 2016
式直前のタカヒロ
友達の出し物
ぜーんぶ終わって疲れて寝ちゃったタカヒロ
という結婚式当日カメラロールを私の携帯にください pic.twitter.com/3kVg2O1J4s
高校生の時に横にいてほしかった濱田崇裕➡大学生の時に横にいてほしかった濱田崇裕➡今週末横にいてほしい濱田崇裕➡5年後横にいてほしい濱田崇裕 pic.twitter.com/3ZB0HiAJBQ
— みずうみ (@numadeasobu) June 4, 2016
あー、濵田君(ジャニーズ)ありがとう。しんべえ、明日も弁当つくれます。
ちなみに、我が家のHDDはジャニーズ関連と「クリミナルマインド」でいっぱいで、
我が家の本棚はドル誌と「フ○―メイソン」「都市伝説」でいっぱいです。
私は“理想だらけ男の子”、彼は“不可思議”でトキメキを生成して我が家は成り立っているのかもしれません。
家事などの分担さえしっかりやれば、青い封筒がきたときには「いやー、結婚して相も変わらずキュンキュンし続けている夫婦などいるのかな?都市伝説じゃない?」と言っている“未だに、小山君は日テレのアナウンサーだと思っている”夫もとりあえず一緒に喜んでくれたりします(同じ意見でいるということが最大のありがたみ…)。
20歳の私よ、安心しましたか?
『愛情生活』もきちんと本棚に鎮座していますので、今は納得できないこともあるかもしれませんが、とりあえずは燃やさないように。